会員コラム

会長コラム(2020.02.14)

突然ですが、ペストといえばかつてヨーロッパで多数の死者を出した恐ろしい感染症です。

19世紀末には香港での大流行をきっかけに世界に広まりました。1899年6月に横浜港に入港したアメリカ船の船倉で苦しんでいる中国人の船員が見つかり、一人の若い検疫医官が診察し、採取した検体を調べてペスト菌を発見しました。検疫所はすぐに病人を隔離し、船内を消毒して横浜上陸を阻止しました。
この人物こそ後に細菌学者となり、現在の千円札の図柄にもなっている野口英世です。
(産経抄より抜粋)

現在中国を中心に新型コロナウイルスによる感染症が世界に広まりつつあり、わが日本人の感染者も増加している状況の中で、日本人が多数乗船している大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では集団感染が発生しています。感染者の数は日々増加しており乗客乗員約3700人の中でいったい何人が感染するのか予想のできない状況です。

豪華大型クルーズ船にはレストランはもちろん、劇場、プール、カジノ、ジャグジーなど退屈しないようにいろいろなものがそろっており、最近は日本人の利用も増えてきているようです。政府はこのようなクルーズ船で来日する外国人を多数取り込む目標を立てているようですが、今回のような感染症がひとたび発生した時、その対策が不十分であれば集団感染になりやすく、日本へのその感染症の上陸を許してしまいかねません。

世界にはエボラ出血熱などもっと致死率の高い感染症がたくさんあり、外国人を多数受け入れるようになると今まで日本では経験したことのない感染症も今後発生してくる可能性があり、検疫の重要性が増してきます。野口英世のようにとはなかなかいきませんがこれ以上新型コロナウイルス感染者が増えないよう政府にはしっかりした対策を講じていただきたいものです。

ちなみに新型コロナウイルス感染症のことが毎日のようにニュースなどで報道されてから、国民の皆さんは今まで以上にマスクの装着、手洗い、うがいを励行するようになったため、この冬のインフルエンザ患者数が少なくなっているようです。来年以降の冬場も感染予防の基本である手洗い、うがいを励行することでいつ発生してもおかしくないといわれている新型インフルエンザの予防にもつながると思います。